おひさしぶりの片岡です。
すっかり秋めいてきましたね〜。
今週は、読書の秋にピッタリ!?、フォントのはなしを書いてみようと思います。
皆さまおつきあいよろしくお願いいたします!
「フォント」というと、パソコンに入ってる「明朝体」「ゴシック体」「行書体」、また、道路、建物、看板、チラシ、商品パッケージ、出版物などなど、周りを見渡してみると、世の中には無数のフォントが存在しています。
形も様々で、スッとスタイルの良いもの、丸っこくてかわいいもの、教科書みたいなの、ぐっと目を引くもの。
実に多様なフォントが、シーンや媒体によって使い分けられています。
職業柄か、生活しているといろんなフォントに目がいきます。
そんな世の中のフォントを「じっっ」と観察してみると、
フォントはただの文字にあらず、デザインをより明確に伝える道具として機能しているのが見えてきます。
写真のお菓子2つは、偶然にも商品ロゴに同じフォントを使っていたもの。
この書体は「古印書体」といい、昔の印章をモチーフにしたものらしいのですが・・・私は「呪い文字」と呼んでいます。笑
これを商品ロゴ、しかも食品の、に持ってくるデザイナーさんの心意気。すごい!と思いました。
「ほろほろ」とした食感をイメージしているのかな?と思ったり。・・・いや、それにしてもホラーなお菓子!
そういえば昔入ったうどん屋さんも、メニューが全てこの「呪い文字」だったことがありました。
15年くらい前だけどはっきり覚えているので、よほどのインパクトだったんですねー。
このように、「なぜ!?!?ここでこのフォント!?」というのも結構あって、面白いです。
ヒカリめがねの本文によく出てくる「游(ゆう)ゴシック体」は、字游(じゆう)工房という会社が作ったもの。
普通のゴシック体よりも、なんとなく文字の間の余白が美しく、すっきりと見えるような気がします。
印象は、例えば普通のゴシック体は、教壇の上から生徒に向けて「本日の注意事項」とか話してるような印象。
対して游ゴシックは、ソファに座って隣で話しているような感じ。
私は、フォントは大抵「なんとなく」感覚で選んでますが、比べてみるとその違いは明確で、
フォントひとつで文字の持つエネルギーや雰囲気もガラっと変えてしまいます。
ものすごいポップな字で「熊出没注意!」と書かれてたら、クマモンとか出てきそうじゃない?
特に文章の場合は文字数が多いので、フォント選びは慎重になります。フォントはあくまで道具であり、控えめな脇役でなければいけません。
読んでいて邪魔にならず、余計な主張をしてこない。でも、文章を書いた人の声のトーンを表現できるような、さりげな〜〜〜くいい仕事してくれるフォントが良いです。
対して、ロゴや見出しに使うフォントはわりと主張のあるものが多いです。
最近だと、きっと目にしたことあると思いますが、 デザイナーの七種泰史さん作「キリギリス」(トリスのハイボールのロゴ、ファミリーマートの販促など)や「さざ波」(DMや本の見出しでよく見ます)など、良く使われています。主張が強いのに何にでもすんなりハマり、デザインをブラッシュアップしてくれる感じのフォントです。
ヒカリめがねのロゴは「むつき」という明朝体をベースにしており、
これはちょっとレトロで、しっとりとした印象のフォントです。
普通の明朝じゃつまらないけど、主張が強いのもなんか違うな〜と思って選びました。
ちなみにこのフォントで文章を書くと、昭和の文豪が書いたエロ小説って感じになります。(あくまで私感 !)
数も多く複雑な日本語に比べ、たった26文字で文章が作れる英語のフォントとなると、種類は星の数ほどに膨れ上がります。
海外のフォントのサイトなど覗いてみると、本当に数多のデザインフォントがひしめき、かなり良く作られたものがフリーでダウンロードできちゃう、なんてことも多々あります。
余談ですが、アップルは創業者のスティーブジョブズさんの美意識に基づき、美しく機能的なフォントを搭載するのがポリシーらしいので、数々の名作フォントが標準インストールされています。さらにアップデートするたびに結構良いフォントが入ってくるので、かなりうれしいです。
フォントを意識すると、風景がちょっと変わってきます。
フォントのあるところにデザイナーや企業の想いあり。
皆さんも、ちょっと視点を変えてみて、フォントからデザインをひもといてみてはいかがでしょう。
今日はそんな新しい視点のご紹介でした!
つづっく