∞祖母からの贈り物∞

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我が家には、実家から持ってきた祖母のたんすがある。

こちらに運ぶ前に、中身を整理したので、残っている着物はほとんどない。

そのなかに、浴衣が3枚。

ずっとしまってあって、着る機会もなく、何せ古いものなので、糸も弱っているだろうと思い、あまり着る気にならなかった。

この夏、奥三河でライブがあるので、その時に着て行けたらと思い、その中の一枚、一番好きなモダンな柄のものをあててみることにした。

おや?!

広げてみて気がついた。

こんなところに、「マエタ」と
襟先に白い糸で、記されてある。

マエタ(前田)は、私の旧姓。

この浴衣は誰のものだったのだろう。
女もの?男もの?
祖母のもの?祖父のもの?母のもの?
もう祖母は此の世にはいない。
いろいろ聞いてみたくても、聞けない。

手縫いで縫われたこの浴衣を手にして、なんとも言えない想いが胸に込み上げてきた。

着てみると、やわらかくて気持ちいい。

おばあちゃん。
もう逢えないと思ってたけど、
ひょっこり逢えた気がしたよ。

お喋りできた気がしたよ。

時空を越えて、祖母からの思わぬ贈り物。

今年の夏は、この浴衣を着て夏を楽しませていただくね。

ちょうど、アフリカン帯作ったんだよ。

ピッタンコだよ。

いよいよ夏が始まるよ