拝啓 水木しげる様
水木さんがこの世を去られ、
魂の存在となられてから4度目の夏がやってきました。
そちらでの暮らしはいかがですか?
こちらは、今年の夏はいつも以上に暑い気がしています。
小さい頃、セピア色がかったゲゲゲの鬼太郎をテレビで観るのが大好きでした。
いつも妖怪がらみの事件が起こり、鬼太郎が解決するというものでしたね。
妖怪が悪者役で登場することが多かったけど、その原因はいつも人間のエゴや傲慢さを改心させるため、妖怪達は悪者役をかってでてくれていましたね。
水木さんは、妖怪を通じて私達に大事なことを教えてくれた気がしています。
水木さんが漫画家として活躍された昭和平成と、どんどん物事は便利になり、スピード化され、暗闇も少なくなり、妖怪の住みにくい世になったと、以前仰られていましたね。
確かに時代が進むにつれ、昔はたくさんあった妖怪が住まう「間」が、随分消えてしまいました。
令和の時代に入り、ますます便利になり、スマホ1つでいろんなことが出来てしまう時代となりました。便利さを享受しつつも、一体この先どんな世になるのだろう?と、思っていたところ、コロナが発生し、全世界の人々の暮らしに一気に急ブレーキがかけられました。
水木さんなら、今のこの世をどんな風に描かれるのでしょう。
「のん氣にくらしなさい」
ちょうど1年前の夏、
水木さんの故郷を訪れた際、離れて暮らす夫へのお土産に求めたコーヒーパックに、先日再会したのです。
いきなり、目👀に飛び込んできたとです。
「のん氣にくらしなさい」
水木さんからの、今を生きる私達への壮大なメッセージを受け取った気がしました。
今のご時世
コロナでキュウキュウになってしまっている心が、ホワッと解き放たれた気がしました。
以前、水木さんが描かれた疫病を退散させるというアマビエという妖怪が、今、人々の心に寄り添ってくれています。
やはり、どの時代も、妖怪と人間は切っても切れない仲のようです。
いつかアマビエが、コロナという疫病を終息させてくれるその日を信じて、
今できることを大切に
そして、心に間を持ち、ゆっくり
のん氣にくらしていきたいと思う2020の夏です。
水木さん、
いつも大切なメッセージを届けてくださり
ありがとうございます。
突然のお手紙失礼いたしました。
無性に水木さんにお手紙を書きたくなり
書かせていただいた次第です。
大好きな水木しげる様
きみどり拝